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イランにおけるキリスト教徒のクリスマスの儀式

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イランは、総人口約8000万人のうちおよそ97%をシーア派イスラム教徒が占めるイスラム教国ですが、キリスト教徒やゾロアスター教徒、ユダヤ教徒などもわずかながら存在します。彼らは、イスラム教国のイランにあって、イランの国会でも議席を有しています。
特に、首都テヘランや北西部タブリーズ、ウルミーエ、そして中部イスファハーンなどには、キリスト教徒が数多く在住しています。中でも、アルメニア系のキリスト教徒は、旧ソ連時代に隣国のアルメニアからイランに移住してきた人々の子孫で、キリスト教の一派であるアルメニア正教の信者とされています。また、ササン朝時代に唐代の中国に伝来し、ネストリウス派と呼ばれたアッシリア東方教会の信者も存在します。これらの人々は、普段は一般のイスラム教徒らと平和的に共存する一方で、自らの言語や文化、宗教的な伝統をきちんと受け継いでいます。ある統計によりますと、イラン国内にある300箇所のキリスト教会で、クリスマス及び新年の儀式が行われるということです。今回は、テヘラン市内に在住するアルメニア系、アッシリア系のキリスト教徒による、クリスマスの儀式についてご紹介することにいたしましょう。

クリスマスシーズン中のテヘラン市内のアルメニア人居住区の様子。イスラム圏内にありながらも、クリスマスツリーが飾られ、商店街のショーウィンドーもクリスマスの雰囲気にあふれています。
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このように、アルメニア人居住区では特に、街中のクリスマスの飾りつけも華やかで、一見すると日本とそれほど変わらないかもしれません。しかし、イランのキリスト教徒たちによるクリスマスの儀式は、確かにクリスマスツリーによる装飾やサンタクロースも存在するものの、非常に精神性あふれる宗教色の強いものとなっています。それではまず、アルメニア教会の様子からご紹介しましょう。
儀式当日の夜、テヘラン市内にあるアルメニア教会には続々と人が集まってきます。

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ここに集まってきた人々は、全てアルメニア系キリスト教徒の人々です。イラン国内で生活しているため、女性たちはイスラム式のスカーフを被ってはいるものの、服装は色柄物が多く、いわゆるイスラムのモスク内の様子とはかなり雰囲気が違っています。全員が真剣に聖職者の話に聞き入っています。ここで注目すべきことは、イランのアルメニア人はユリウス暦という独自の暦を用いていることから、西暦の1月6日にキリストの生誕を祝うことです。

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司祭さんが、厳粛な雰囲気の中、子どもを初めとする参列者に聖体拝領を行っています。これは、パンをキリストの体に、ぶどう酒をキリストの血にする祈りの言葉を唱えた後、これらを参列者に与える儀式です。
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信者たちは、神様の御用のためにお使いください、と心を込めて献金します。
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教会の内外で、信者は一心に祈りを捧げています。
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この聖なる夜には、女性たちの聖歌隊が賛美歌を歌うところも見られます。
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信者たちは、祈りを込めてろうそくに火をともしています。
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司祭さんたちは、独特な服装に身を包み、厳粛なムードの中で儀式を執り行います。

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さて、今度はアッシリア東方教会のキリスト教徒の儀式の様子を見てみましょう。司祭さんによる講話があるのは、イスラムとも共通しています。この写真中に見える不思議な文字は、アッシリア語だそうです。
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アッシリア教会の外観も、閑静な佇まいを見せていますが、アルメニア教会とはいささか様相が異なっています。
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教会の講堂内では、一連の儀式が行われています。やはり、司祭さんの服装をはじめ、アルメニア教会の儀式とは雰囲気や形式が若干異なるようです。
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神の前に額づいて祈りを捧げる女性
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ミサの中間部で、パンとぶどう酒が祭壇に捧げられました。美しい金属製のカリスと呼ばれる聖杯と、パテナと呼ばれる聖体皿を前に、パンをキリストの体に、ぶどう酒をキリストの血にする祈りの言葉が唱えられます。
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そして、いよいよ拝領の儀式が行われます。子どもたちも、司祭さんから直接聖体拝領を受けています。
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アッシリア教会でも、やはり信者のもとを回っての献金の募集が行われていました。

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それから、クリスマスに当たってはイランの大統領もメディアなどを通じて、イスラムでも敬愛の対象となっているイエス・キリストの生誕に対するお祝いの言葉を述べることになっています。また、この機会にイスラム教の聖職者がキリスト教会を訪問することも決して珍しくありません。このようなところにも、イランでは長年にわたって、イスラム教徒とキリスト教徒という2つの一神教の信者たちが平和的に共存してきていることが見て取れます。
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人智を超えた、絶対的な力を持つ全世界の創造主なる神に一心に祈りを捧げる人々の姿がとても印象的でした。全知全能の神への崇拝には、イスラム教やキリスト教といった呼称を超えた何か共通するものがあるように感じられました。きっと、彼らはこうした場所に足を運び、神に祈りを捧げることで、現代の俗世間では忘れられがちな心の安らぎをも求めているのかも知れません。

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日本では、クリスマスは本来イエスキリストの生誕を祝うものであることは、表面的には知られているかと思われますが、どちらかと言えばクリスマスケーキやプレゼントなどのお楽しみ的、商業ベース的な側面が先行しているのではないでしょうか。それに比べて、イランでは、アルメニア教徒やアッシリア東方教会の信者たちが、イスラム教国に在住していながらもその篤い宗教心から、自らの宗教を守り、心から神に祈りを捧げ、イエス・キリストの生誕を祝っている様子がうかがえました。彼らのこうした熱心な祈りが、ひいては世界全人類の幸福と平和につながることを願わずにはいられない、そんな思いにかられたキリスト教の儀式でした。

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