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在日イラン人留学生によるイフタールの集い

イスラム教の断食月ラマダン明けを数日後に控えた7月2日、東京・大田区民センターにて在日イラン人留学生らによる、この日の断食終了の夕食会が催されました。この催し物は5年前から、ASIJ・在日イラン人学術協会の後援により、在日イラン人留学生たちが費用を出し合い、毎年ラマダン期間中に実施されています。イランをはじめとするイスラム諸国では、このラマダン期間中の夕食はイフタールと呼ばれています。この食事は、イスラム本来の教えでは誰でも、自分のできる範囲で他人に振舞うことができ、また振舞われた側は一口でも必ず手をつけることが礼儀とされているということです。また、イランでは断食をした仲間や家族とともにモスクなどの公共の場所に呼ばれ、大勢の人々と会食することも珍しくありません。今回は、イスラム圏外にある日本で留学生活を送るイラン人学生さんによる、断食後のイフタールの夕食会の様子をお届けしましょう。

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さて当日、まだまだ昼が長い中、日没まであと2時間ほどという時間に、大田区民センターに足を運んでみました。すでにこのセンターの調理室には、15名ほどのイラン人留学生らが集まり、さすがに母国の料理とあって慣れた手つきで米飯を炊いたり、おかずを煮込んだり、また前菜のスープを盛り付けたりしています。筆者自身がついこの間まで長らく暮らしていた、イランの料理の懐かしい匂いが漂っています。

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普段は日本の社会で暮らしている中で、この日は同じ母国語を話す仲間が集まったことで、留学生たちは思う存分母国語のペルシャ語、そしてこちらで使い慣れている日本語での生活用語も交えながら、和気藹々としたムードで調理作業を進めていました。

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今回のイフタール食のメインディッシュは、サフランで黄色く染めたライスと、鶏肉のトマトペースト煮込みでした。

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イラン料理には普通、いわゆる日本のお米とは違い、インディカ米と呼ばれる細長いぼそぼそしたお米を使います。面白いことに、イランでライスを作るときには、洗って水に浸しておいた米を熱湯に入れて、半煮えの状態でざるに開けて水を切り、再度鍋に入れて蒸すことになっています。今回のご馳走に出すライスも、以下の写真のようにふっくらとおいしそうに出来上がっていました。

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ライスの上には、ペルシャ語でゼレシュクと呼ばれる、干しぶどうより鮮血な赤色をした粒粒がたくさん振りかけられています。これは、メギ属に属する植物の実で、日本語ではヘビノボラズと呼ばれていますが、日本ではあまりお目にかからない食材と思われます。ライスにかけるときには、まずこれをさっと洗って水をきってから、サラダ油でさっと火を通し、少々砂糖を加えています。

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このゼレシュクは、スープにもよく使用され、スープに酸味を添えてくれます。これもとても美味しく出来上がっていました。
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一方では、たくさんのプラスチック容器に、何やら黄色いどろんとしたものがたくさん盛り付けられています。これは、ショオレザルドと呼ばれるプディングのようなもので、お米をやわらかく煮込んだものに砂糖とバラ水を加え、サフランで色付けしてシナモンやピスタチオなどで装飾したものです。イランでは普通、イフタールの際にこれはデザートとして出され、食べきれなかった場合などにお土産に持ち帰ることも多くなっています。

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それから、サフランで染めた通常のイラン食のライスのほかに、ライスを意図的におこげ状に仕上げたようなメニューもありました。これは、タフチーンと呼ばれる別のメニューだそうです。実際にこのメニューの調理を担当した学生さんに作り方を聞いてみたところ、サフランとヨーグルト、卵の黄身をよく混ぜ合わせたものと炊いたライスを混ぜ、型に入れてオーブンで焼いたということでした。そういえば、イランでは通常のライスのほかにおこげが別途に食卓に登場してきますが、一見そうしたおこげを思わせるこのメニューも、今回のメインディッシュに入っているとのこと。ぷーんと香ばしい匂いが漂い、断食明けとなる時刻が本当に待ち遠しく感じました。

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出来上がったご馳走は、丁寧にプラスチック容器に盛り付けられていきます。
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さて、いよいよ広間に設けられたテーブルにごちそうがきちんと並べられ、日没を待ってご馳走に箸をつけることになりました。
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このとき、皆がそれぞれ、この場合は日本語の「いただきます」に相当すると思われる文句をアラビア語で唱えていました。これはビスミッラー(神の名において)という言葉で、この場合以外にも何かを始めたりするときにイラン人がよく唱える言葉です。その日の糧を与えられたことに感謝するのは、言葉は違えど世界的に共通しているようです。

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さて、まずは長時間の空腹に耐えてきた胃の負担にならないよう、紅茶や白湯、ドリンクなどの飲み物でその日の断食を解き、その次にパンとハーブ、なつめやし、スープといった軽食をいただくことになっています。またこの日は、そのほかにも日本で簡単に手に入るウーロン茶やジュースなどが出てきました。ちなみに、イランでのイフタール食ではまず、紅茶やナツメヤシ、ハーブ、パン、チーズ、スープといったものから始まり、それからしばらくして米飯とおかずを中心としたメニューが出されることが多くなっています。そして今回は最後にデザートとしてスイカとショオレザルド(お米とサフランのプディング)が振舞われました。

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一生懸命にお料理を作ってくれたイラン人の留学生の方々に混じり、私も今夜の会食に参加させてもらいました。イラン滞在中に一通りイランの一般的なメニューくらい作れるようになりたいと一生懸命覚えたつもりでしたが、やはりイラン人がつくる本場のお料理は一味違います。
長時間に及ぶ断食の後とあって、その日の断食を終えた喜びもひとしおだったことでしょう。皆さん楽しそうに、異境の地での同国人とのひと時を楽しんでいました。

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今回のイフタールの集いでは、イスラム圏外の日本で、しかも長時間にわたる断食をきちんと実行し、本国同様に夕食会を催すイラン人留学生らの姿に、彼らの篤い宗教心と同時にイラン人同士の集まりを大切にする同胞意識を垣間見ることができました。

最後に、皆で記念撮影をし、今年のイフタールの集いはお開きとなりました。

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