レーズンやニンジン、サフランで黄色く染めたライスなどを添えて
鶏肉やジャガイモのおこげを添えて
前回のレポートでは、イランが世界に誇る農産物ピスタチオにまつわる話題をお届けしてまいりました。日本でピスタチオと言えば、どちらかと言えばクルミやアーモンドのような乾燥ナッツの1つとして食するほか、ビールのおつまみなどに添えられているケースが大半ではないでしょうか。ですが、ピスタチオのお膝元であるイランでは、決して単なる乾燥ナッツとしてのみならず、家庭でのお菓子・デザート作りや郷土銘菓、さらには調理にも幅広く利用されています。
ピスタチオが調理やお菓子作りに利用されているケースは、前回のレポートの最後に少々触れましたが、今月は実際にピスタチオを使用したイランの家庭料理の一つ、「ピスタチオライス」の作り方をご紹介してまいりたいと思います。
また、実際の家庭料理ではざくろの実や鶏肉を添えたものなど、非常にバリエーションに富んだものが作られていますが、今回は最も基本的な作り方のパターンをご紹介しましょう。
<用意するもの> 目安・4人分
以下で説明する1カップは約250ミリリットルです
・インディカ米:3カップ(最低30分は水につけておく)
・ピスタチオ:2カップ(硬い外側を剥いたもの)
・ディール(セリ科の野菜):1カップ、乾燥したものであればカレー用スプーン4杯分
・塩、コショウ:適量
・じゃがいも(中程度の大きさ);2つ(おこげ用)
・サラダオイル;適量
・サフラン(お好みで);微量
<作り方>
1.米をといで、一つまみの塩を入れた水に最低30分間つけておく。ディ―ルも洗って粗みじん切りにする。
2.外側の堅い殻をむいたピスタチオを2つ割りにする。ジャガイモは皮をむき、厚さ5㎜程の輪切りにしてさっと水洗いし、ざるにあけて水を切っておく。
3.大きめの鍋に水を入れて沸騰させ、水に浸けておいた米と2つ割りにしたピスタチオを同時に入れる。米が半煮えの状態になったところで、米とピスタチオをざるにあけて水を切る。
4.鍋の底に適量のサラダオイルを入れて底全体に行きわたらせ、2.で水を切っておいたジャガイモの輪切りを鍋全体に敷き詰める。
5.敷き詰めたジャガイモの上に、3.でできた半煮えの米とピスタチオ、1.で粗みじん切りにしておいたディ―ルを交互に入れる。
6.鍋の中の米・ピスタチオ全体に適量のサラダオイルをかけ、鍋の蓋を布巾もしくはタオルなどでくるんだものを被せ、30分ほどじっくり蒸らす。
7.蒸らし上がったピスタチオ入りライスを軽く混ぜ、大皿などに盛り付ける。
*5.の時点で、お好みによって粉末にしたサフランを少量の熱湯で溶いたものをふりかけて蒸らしても、おいしいものが出来上がります。
以上が最も基本的なピスタチオライスの作り方ですが、実際には煮込んだラムや鶏肉などと一緒に出されることが多くなっています。ご参考までに、イランで付け合わせ用に出される最も基本的な鶏肉の煮込みの作り方も合わせてご紹介します。
骨付きの鶏もも肉もしくはササミ;500g(4人分)
玉ねぎ(中程度の大きさ);1個
トマトペースト;カレー用スプーン1杯
ミックススパイス、お好みの香辛料;適量
熱湯;適量
1.鶏肉をフライパンで少々キツネ色になるまで、適量のサラダオイルで炒め、別の皿にとっておく。
2.玉ねぎをみじん切りにし、サラダオイルで少々キツネ色になるまで炒め、トマトペーストを加える。トマトペーストが全体に行きわたったらミックススパイスを加えて全体になじませる。
3.2.に熱湯を加え、1.でできた鶏肉を加え、中火でゆっくり煮込む
このメニューも非常にバリエーションが多く、各家庭ごとに、またホームパーティーや来客用など様々な場面で、色々な材料を追加したものが作られています。ご参考までに、ピスタチオライスとごく標準的なイラン式の鶏肉の煮込みを添えた盛り付け例をいくつかご紹介します。骨付きもも肉を使った例
おこげを添えた例。なお、ここでは2つ割りにしていないピスタチオと、細長く切ったピスタチオが同時に使われています
ササミを使った例。他にもサフランで染めたライスやバーベリ―、細長く切ったピスタチオやアーモンド、炒めた細切りの人参を加えてカラフルに仕上げています。
ハーブやサラダ、おこげ、鶏肉を煮込んだスープも添えて、華やかに盛り付けています
表面全体がお焦げになった例
小さな肉団子を添えてピスタチオは装飾に
日本ではどちらかといえば、ピスタチオは乾燥ナッツとしてのほか、ビールのおつまみなどとして食されることが多いのではないでしょうか。しかし、ピスタチオのお膝元のイランでは、そのまま食するほかにも調理やお菓子作りなどに幅広く使用されています。このようにピスタチオを調理に使うことは、日本ではまず見られないと思われます。
最近では、日本国内の一部の大手スーパーやデパートの食料品売り場などに、食の国際化と相まって、これまではあまり見られなかった外国の食材も販売されているようです。そのような場合には、イラン製ピスタチオなども販売されているかと思われますので、是非日本にいながらにして西アジアのエキゾチックな風味を楽しんでいただければと思います。
次回は、ピスタチオを使ったお菓子作りをご紹介する予定です。どうぞ、お楽しみに。