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まだまだ目白押し!イラン中部の意外な名所

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<ナフジール鍾乳洞>

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<イランの現代詩人ソフラーブ・セペフリーの墓>

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<ニヤーサルの滝>

先々月のレポートにて、イラン革命の指導者ホメイニ師の生家を初めとする、イラン中部の意外な名所についてご紹介しました。しかし、日本の4.4倍もの国土面積と、一般のイメージとは大きく異なる多種多様な気候風土を誇るイランは、中部地域だけをとってみても、まだまだ知られざる名所が存在します。今回は、そうしたイラン中部の意外な名所の続編をお届けすることにいたしましょう。

ナフジールの鍾乳洞
この鍾乳洞は、マルキャズィ州デリージャーン行政区にあり、2005年にイランの国有文化財に指定されました。1988年ごろまでは、この地域に薬草摘みや狩猟に来る人々がいたものの、この洞窟の岩壁の割れ目から、水の流れ落ちる音とともに、恐ろしい轟音が聞こえたことから、人々はこの地域に近づかなくなったということです。その後、1989年にこの行政区の水道局が水源を探索するための作業を行っていた際、偶然にこの洞窟が発見されました。ナフジールとは、もともと狩猟を意味し、狩人がこの地に獲物を追いたて、この地で獲物を捕らえていたことに由来するとされています。この鍾乳洞は、およそ7000万年前のものと推定され、洞窟内のルートは全長12キロに達するとされていますが、現在までに人が足を踏み入れ、一般人の見学ルートとなっているのは、そのうちの1.2キロのみだということです。
さて、この鍾乳洞の入り口に着いてから、中に入る前に入場券を買い求め、係員の方から色々説明を受けました。これから1.2キロの鍾乳洞内の順路を歩くことになるが、途中には幾つも滑りやすいところや、狭くて通りにくいところがあるため、足元に気をつけるように、とのことです。また、鍾乳洞内は地下およそ30メートルにも達し、気温が低いため、防寒対策をしっかりしておくように、とのことでした。他の大勢の行楽客の後について、入り口から中に入り、石で出来た急な階段を下りて指定された順路を歩き始めました。

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<ナフジール洞窟の入り口>

まずは、石で出来た急な階段を下りていきます。洞窟内は暗いので、懐中電灯を使用しながら順路を歩いていきます。
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順路の一部は幅が狭くなっており、通過する際に注意する必要があります。

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とにかく、至るところに石灰質の鍾乳石の結晶ができています。現地のガイドさんのお話では、これらの鍾乳石は今なお成長段階にあり、100年でおよそ2センチ伸びるそうです。
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順路の途中には色々な形状の鍾乳石が一面に広がっており、それはまさに大自然のなせる技であるとともに、さながら天然の美術館のようです。

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中には、鍾乳洞というより、さんご礁にも見えるような幻想的な風景をかもし出しているところもありました。
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この鍾乳石は、全体がさながら亀のように見えるため、亀の岩と呼ばれています。
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この鍾乳石には、サイの岩という名前が付けられています。なるほどよく見ると、サイの横顔のように見えます。
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こうして、全長1.2キロほどの順路を40分ほどかけて歩き、現時点で一般の見学客の立ち入りが可能とされている最終地点につきました。ここは、全体の景観が国会議事堂の会議場のような構造になっていることから、「会議の間」と呼ばれています。なるほど、奥行き全体が30メートルほどありそうな広間のようなスペースが広がり、奥の部分が議長の座る場所のように高くなっていて、その部分まで何段かの段差が続いています。但し、このスペースでは写真撮影が許可されなかったため、見るだけとなりました。係員の方のお話では、これまで辿ってきた順路に加えて、さらに12キロほどの洞窟道が存在すると推測されているとのこと。今後のこの洞窟のさらなる発掘が進むことを期待しながら、もと来た道を引き返し、この洞窟を後にしました。

 

イランの現代詩人ソフラーブ・セペフリーの墓
さて、大自然の絶景を存分に楽しんだ後、今度はデリージャーンから東方面に向かい、マルキャズィ州から隣のイスファハーン州カーシャーン行政区内の村マシュハデ・アルデハールにやってきました。この町の近郊にあるカーシャーン行政区は、バラ水の生産で知られると共に、イランの現代詩人で画家でもあったソホラーブ・セペフリーの出身地でもあります。ソホラーブ・セペフリーは、日本の現代詩人で書家の相田みつをとほぼ同時期を生きていた詩人で、アジアの文化にも関心を持ち、インドや中国、日本を訪問した経歴があります。また、彼の詩作は英語、フランス語、スペイン語、イタリア語などにも翻訳されています。

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ソフラーブ・セペフリー(1928~1980)

 

今回見学したソフラーブ・セペフリーの墓は、マシュハデ・アルデハールの村の中にあり、厳密にはイスラムの預言者の末裔の1人で、シーア派5代目イマームムハンマド・バーゲルの実子にあたるスルタン・アリーの霊廟の一角に設けられています。この詩人の墓は、これまでに何度か墓石が交換されており、現在では白と赤茶色を基調とし、彼の肖像画や詩作の一遍がペルシャ語と英訳で刻まれています。この詩では、「もし私を訪ねてくるなら、ゆっくりと静かに来ておくれ、孤独な私という壊れやすいものが割れないように」と詠われています。

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<絵画作品を創作中の若き日のソホラーブ・セペフリー>

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ニヤーサルの滝
さて、今回見学した最後の名所として、同じくカーシャーン行政区内のニヤーサル村にある、ニヤーサルの滝をご紹介することにいたしましょう。この滝の水源は、この地域内の海抜1860メートルに位置するエスキャンダリーエの泉とされています。
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この滝は、秋に水量が最も少なくなり、冬に最も多くなるということです。
以下の写真は、この滝を上から撮影したものです。落差はおよそ50メートルほどでしょうか。
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この滝には、滝の中腹の部分に上れるわき道があります。春先の行楽のシーズンとあって、大勢の行楽客が訪れています。
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春先のまだ肌寒さが残る折でしたが、この滝のそばで友人や知人とのピクニックを楽しむことができました。イラン中部の2つの景勝地と、現代詩人の墓地という名所を訪れることができ、大変充実した経験となりました。イランはこれから北部などを中心に旅行シーズンを迎えます。今後とも、イランの意外な名所をたくさんご紹介してまいります。どうぞ、お楽しみに。