炒めた玉ねぎ、ひき肉、ピスタチオなどを添えて
肉団子を添えた盛り付け例
前回のこのレポートにおきまして、イランに根付いた「願掛けの文化」をご紹介してまいりました。
イランでの願掛けには調理食の配布によるものが多く、そのメニューも様々です。しかし、大量に作りやすく一般にも好まれ、使い捨て容器などに入れて配布しやすい、といった理由から、願掛け用に配られる定番メニューは大体いくつかのメニューに絞られているようです。そこで、今回は願掛け用のみならず、イランでの一般的な食事のメニューとしても親しまれ、作り方もそれほど難しくないと思われる、「レンズマメと干しぶどうの混ぜご飯」の作り方をご紹介していきたいと思います。
ヨーグルトやハーブ野菜、オリーブなどのつけ合わせを添えて
今回ご紹介するメニューは、ペルシャ語では一般的にアダスポロウ(アダス;レンズマメ+ポロウ;炊いたご飯)と呼ばれていますが、実際にはこれに炒めた玉ねぎやひき肉、干しぶどうなどが添えられることが多くなっています。
また、特にホームパーティーや来客の接待用に出す場合などには、それらに加えてピスタチオや肉団子、ナツメヤシなどが添えられることもあり、実に色々なバリエーションが加えられます。ですが、今回は最も基本的な作り方をご紹介してまいります。
用意するもの(4~5人分)
・レンズマメ 250g
・米(できればインディカ米) 1kg
・干しぶどう 100g
・玉ねぎ(普通の大きさのもの)2個
・ひき肉 300g
・ジャガイモ(中程度、お焦げ用)2個
・サラダオイル 適量
・塩、胡椒、ターメリック それぞれ適量
<作り方>
1.レンズマメと米を、あらかじめ水につけておく。インディカ米を水につけておく場合は、塩を少々加える
2.レンズマメを洗って熱湯で茹で、食べられる硬さに茹で上がったところで火から下ろし、冷水で洗い水気を切っておく
3.鍋に多めの水を入れ、沸騰したところで水につけておいた米を入れ、少し芯が残っているところでざるに空けて水を切る
4.別の容器で、煮えたレンズマメと3.でできた半煮えの米を混ぜ合わせる。このとき、レンズマメと米が型崩れしないようにそっと混ぜる
5.大きめの鍋の底面全体に薄く油をしき、皮をむいて輪切りにしたジャガイモを敷き詰める。その上に4.でできた半煮えの米とレンズマメの混ぜ合わせたものを入れ、少量の油を振り掛ける。布巾などで包んだ蓋をかぶせ、2,30分むらす。
6.米飯とレンズマメを蒸らしている間に具を作る。干しぶどうを、適量のサラダオイルとターメリックで少々炒め、別にとっておく
7.玉ねぎを薄切りにし、適量のサラダオイルできつね色になるまで炒め、油を切って別にとっておく。
8.ひき肉のそぼろを作る。ひき肉を適量のサラダオイルで、色が変わるまで炒め、塩、胡椒を加える。このときに、好みでシナモンやトマトペーストを加えて炒めてもよい
9.5.で蒸らしあがった米飯とレンズマメの混ぜ合わせを大皿に盛る。その上に、6.、7.、8.で別途に炒めておいた干しぶどう、玉ねぎ、ひき肉を適宜ふりかけて出来上がり
ごく一般的な盛りつけの例
このメニューは本当に様々なバリエーションがきき、好みで盛り付け方を変えたり、他の材料を加えることもできます。以下に、その例を写真とともにご紹介しましょう。
今回は、茹でた米とレンズマメを事前に混合する方式をご紹介しましたが、以下のようにレンズマメを装飾用の具として上からふりかけることも可能です。
レンズマメをはじめ、付け合せの具を帯状に盛り付けた例。米飯の一部をサフランで染めたものも、具として装飾に利用しています。
ひき肉のそぼろの代わりに、肉団子を使った例
ライスを中央に、その周りに付け合せの具を並べた例。好みで胡桃を添えています。
ジャガイモのおこげにナツメヤシを付け合せに添えた例
ひき肉の代わりに、スープで茹でた鶏肉を使った例
ライス全体をサフランで染めた例
このように、今回ご紹介いたしましたレンズ豆の混ぜご飯は、特に具に変化を加えることで様々な応用がきき、願掛けなど大人数の一般配布向けのほか、一般的な食事、さらには工夫次第でホームパーティーや来客用のボリュームある一品として出すことも可能です。
以上、今回は久しぶりにまた、イラン人の一般的な食卓に登場するメニューをご紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。日本ではなかなか触れることが少ないと思われる、西アジアの風味を皆様にも味わっていただければと思います。
次回のレポートも、どうぞお楽しみに。