真夏の花盛り;セムナーン州に一面に広がるヒマワリの絨毯
セムナーン州カールプーシュ地区の「ヒマワリの絨毯」
イランでは既に本格的な暑さが到来しています。これまでにもお話しました通り、イランには四季の変化がありますが、日本と比べて陽気の良い春や秋は比較的短く、日本のような梅雨がないために春からあっという間に夏が巡ってくるという感じがします。先だって、テヘラン近郊の村でのカラフルなチューリップの話題をお届けしました。そのため、イランではもう花のシーズンは終わりなのではと思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日本の4倍強もの広大な国土を誇るイランでは、必ずしも春でなくとも意外なところで「お花見」ができます。
最近、ある知人の伝でテヘラン東部に隣接したセムナーン州で、まさに今ヒマワリの真っ盛りのシーズンを迎えているという情報を得ました。「イランにヒマワリ」とは、私たち日本人にとりまして、少々イメージが沸かないかもしれません。そこで今回は、現在まさに花盛りを迎えている、セムナーン州シャーフルード郡カールプーシュ地区の「ヒマワリの絨毯」を皆様にご覧いただければと思います。
シャーフルード郡はテヘランから東に400キロ少々のところにあり、テヘランと北東部の聖地マシュハドのほぼ中間点に位置しています。
セムナーン州の地図。右側の薄緑色の部分がシャーフルード郡。セムナーン州は4つの郡で構成され、地図中の黄色の部分がギャルムサール郡、薄青色の部分が州都のあるセムナーン郡、その右隣りのオレンジ色の部分がダームガーン郡です。ちなみに、ギャルムサール郡とセムナーン郡の一部がテヘラン州に隣接しています。
シャーフルードには「雲の森」と呼ばれる森林地帯が存在しており、雲のかかった森林は見ごたえのある絶景とされています。また、一面に広がるヒマワリと地表近くにまで下りてきている雲のコントラストは、実に見事です。
シャーフルード郡農業局の関係者によりますと、同郡カールプーシュ地区には合計4500ヘクタール相当のヒマワリが植えられているそうです。
まるで、「ヒマワリの海」の中に人がいるようにも感じられます。
「一体何本のヒマワリが咲いてるのかな?」
一方で、成熟したヒマワリは、人の背の高さよりはるかに高くなることもしばしばだそうです。
「すごいなー!僕より背が高いや!」
青空と白雲、そして黄色いヒマワリのコントラストは実に見事です。
ヒマワリは、ペルシャ語ではアフターブギャルダーンと呼ばれています。アーフターブとは太陽を意味し、ギャルダーンは「回ること」を意味しており、日本語と発想が似ています。英語では「サンフラワー(太陽の花)」と呼ばれますが、まさに読んで字のごとく太陽のイメージそのものではないでしょうか。
夕日が反射するカールプーシュ地区のヒマワリ畑
茜雲に映えるヒマワリ畑
遠くから見ても壮観なヒマワリ畑。一体何本のヒマワリが植えられているのでしょうか?
なお、シャーフルード郡の関係者の話によりますと、今やヒマワリ畑はこの地区の夏の風物詩として知られるようになってきているということです。また、ヒマワリより少々早めに、ポピーが一面に咲き乱れるシーズンがあり、こちらも是非見てほしいとのことでした。今回はあいにく、タイミングが合わずヒマワリの見ごろという報告のみとなりましたが、この地域のポピーのシーズンにつきましても、是非機会がありましたら本レポートで今後取り上げていきたいと思います。
さらに、シャーフルード郡を含めたセムナーン州には、ほかの州にはない独自の見どころもあり、今後折を見てご紹介してまいります。
次回もどうぞ、お楽しみに。