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イランでも、日本と同様に火山を含む山岳地帯が多いことから、数多くの温泉が見られます。今回は、テヘランの北東におよそ70キロほど離れた、マーザンダラーン州アーモル郡ラーリジャーン行政区にある、ラーリジャーン温泉についてご紹介いたしましょう。
ラーリジャーン温泉は、テヘランに最も近い温泉とされ、テヘランから車でおよそ2時間ほどの距離にあります。テヘラン市内を抜けると、次第にエルブルズ山脈の連なる山脈地帯に入り、イマームザーデ・ハーシェムという州境の町から、マ-ザンダラーン州に入ります。それからしばらくすると、その外見からイラン富士とも称されるダマーヴァンド山が見えてきます。霧の摩周湖とも称されるほど、摩周湖には霧が掛かっていることが多いようですが、このダマーヴァンド山も山頂には大抵雲がかかっています。
さて、いざ温泉の町ラーリジャーンに着いてみると、山間に民宿のような施設が沢山並んでいます。こうした宿泊施設は、値段もそれほど高くなく、非常に人気があるようです。この町は、テヘラン市内とは違って、空気もきれいで、夜には満天の星空を眺めることができました。但し、空気がきれいである分、夏とはいえ朝と夜は気温が大きく下がり、少々肌寒いほどでした。
テヘランからそれほど遠くないこともあって、夕方6時過ぎにテヘランを車で出発してから、2時間半ほどでラーリジャーンに到着。イランで初めての温泉めぐりに、とてもわくわくしていました。
今回泊まった民宿のような施設に着いて、少々周辺を散策してから早速、イランの温泉にトライ。
浴室の扉を開けると、もうもうと湯気が立ち上り、いかにも温度がありそうな気配を感じ取ることができました。浴槽に入ろうとして、足を少々お湯につけてびっくり。とても熱くて、そのままでは入れる状態ではありません。備え付けの洗面器にシャワーの水を汲んで、何十回も水を加えることになりました。
自分にとって適温と思われる温度にしてから、手足を伸ばしてゆっくりお湯につかっていると、数ヶ月前に日本に一時帰国した際に訪れた、草津温泉と伊香保温泉が懐かしく思い出されました。
この2つの温泉では、広い浴槽が3箇所に分かれていて、温度が3段階に分けられていましたが、ラーリジャーン温泉では温度は一律で、しかもかなりの高温です。後で聞いたところによると、この温泉の平均の温度は62度とのこと。しかし、上がった後は、何ともいえないさわやかさを感じました。ちなみに、この温泉には硫黄が含まれており、リューマチや皮膚病、関節炎などに特に湯治効果があるということです。
ラーリジャーンは、ダマーヴァンド山を水源とするヘラーズ川が流れていることから、中東で最も高品質とされる虹鱒の養殖地でもあります。ちなみに、このヘラーズ川は、もうだいぶ前に訪れたことのある、この州の有名なシャーハーンダシュトの滝が水源で、全長はおよそ100キロ以上に及ぶということでした。
ラーリジャーン温泉からテヘランに戻る途中で、ラーリジャーンに隣接した、テヘラン州ダマーヴァンド郡アーブアリー行政区に立ち寄りました。ここには、いくつもの泉があり、良質のミネラルウォーターが得られます。このミネラルウォーターと、ヨーグルト、そして塩により作られるヨーグルトドリンクはこの町の名物となっています。
イランにはこの他にも、特に北西部のアルダビール州にいくつもの有名な温泉があります。今後機会を改めて、日本とは又違ったイランの温泉の醍醐味を皆様にお伝えしていく予定です。