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5月19日、イラン全国で全世界が注目する中、第12期大統領選挙と第5期市町村議会選挙が行われました。イラン内務省の統計によりますと、今回の選挙の有権者数はおよそ5600万人で、そのうち4100万人が投票に参加し、最終的な投票率は70%を上回ったと言われています。また投票者の数の多さもさることながら、ぎりぎりになって駆け込み投票する有権者も少なからずおり、投票受付のタイムリミットが3回も延長される異例の事態となり、結局19日の深夜24時まで投票受付が行われました。今回は、保守穏健派で現職のローハーニー大統領と、前検事総長だったライースィー候補の一騎打ちとなりましたが、決選投票には至らず、現職のローハーニー大統領が得票率57%で、再選を果たすという結果に終わりました。今回は、イラン大統領選挙をめぐる各地の様子をお届けすることにいたしましょう。
投票日の当日、各投票所の前には朝から長蛇の列ができていました。この日のために、イランの各テレビチャンネルでも投票に参加するよう盛んに呼びかけていましたが、そのようなことをしなくとも、イラン人の政治への関心はとても高いようです。投票所によっては、着いてから自分の番が回ってきて投票手続きができるまでに2,3時間も待たされた投票所もあったそうです。それでも投票したいというイラン人の国政への参加意欲には、実に感心させられるものがあります。また、モスクや学校が投票所に割り当てられていることが多かったようです。
イランでは、満18歳以上の国民に選挙権が与えられます。投票の際には、イラン人なら誰でも持っている戸籍手帳(ペルシャ語でシェナスナーメと呼ばれます)を持って投票所に向かい、投票するとその旨がこの戸籍手帳の終わりのほうのページに記載されます。
さらに、投票するときには人差し指の指紋をとられます。
投票用紙の受け渡しの様子。こうした票の1つ1つがイランの将来を左右することになります。
投票に箱は、大きなプラスチックの箱が使われていることが多かったようです。ここに1人ずつ投票します。
手続きを済ませた人々は、「私も投票しました」と誇らしげにスタンプのインクのついた人差し指を立てて見せてくれました。
投票を済ませた人々の表情には、一種の達成感のようなものが感じられました。この男性は、両手でVサイン。まさに、国民としての義務を果たしたという達成感から、このようなポーズをとっているのかもしれません。
家族連れで投票に来た人も多く見られました。この娘さんたちも、いずれは大きくなって有権者となる日が来ることでしょう。今回の投票はお父さんとお母さんにお任せです。
子供連れで投票に来た若い女性もいました。お母さんは立派な有権者です。将来は子どもさんの番ですね。
カップルで投票に来た人も多かったようです。ただし、投票したお目当ての候補者は別かもしれません。
イランでは、投票日の当日に何らかの理由で投票所に行けない人のために、移動投票箱も使用されます。ですから、病院でも投票ができます。この当直のお医者さんもしっかり投票してVサインを見せてくれました。
そしてもちろん、入院中の患者さんも投票ができます。この患者さんも投票を済ませ、満面の笑顔でした。
若い人のみならず、年配の女性たちも投票に参加し、誇らしげに笑顔を見せていました。
イスラム聖職者・僧侶の方々も、一般人と同じように投票しています。
赤ちゃんを抱っこして投票する男性もいました。待ち時間の間に、赤ちゃんはおとなしく寝ていてくれたようです。
それから、今回の投票では駆け込み投票をする人も多かったようです。最終的に、投票の受付時間が3回も延長され、19日の24時まで投票を受け付けるという異例の措置がとられました。夜になっても、かなりの数の投票所でまだ長蛇の列ができていました。
選挙の結果はともかく、このような光景に見られるイラン人の政治への参加意欲は、世界に誇るものと言ってもよいのではないでしょうか。最終的に、今回の大統領選挙の結果は、現職のローハーニー大統領となりましたが、結果はともあれ、これほど熱心な国民の意思が反映されるよう、次期政権にもしっかり頑張ってほしいものです。