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ベティ・アルヴェル博物館(エストニア)感想レポ!見どころやアクセス方法も

エストニアの、文学史を支えた著名人の一人に、詩人・小説家のベティ・アルヴェル(Betti Alver)がいます。

エストニア人なら一度は彼女の詩を、読んだことがあるはずです。

ベティ・アルヴェル(Betti Alver)は、私が住む小さな町Jõgeva(ユゲヴァ/ヨゲヴァ)で生まれました。

彼女の生まれた家が、今は博物館として現存しています。

今回はユゲヴァ(ヨゲヴァ)にある、彼女の博物館について、感想や見どころを、ブログでご紹介します!

まずは、ベティ・アルヴェルをざっくりとご紹介

ベティ・アルヴェル(Betti Alver)、本名エリザべス・アルヴェルは、1906年ロシア帝国時代の、エストニア・Jõgeva(ユゲヴァ/ヨゲヴァ)で生まれました。

学校へ通うため、居住をタルトゥに移し、エストニア独立後、初のエストニア語で教育を受けられる学校に、通った世代の一人でもあります。

1927年に、小説家としてデビューし、1931年に創作したポエム、 “白いカラスの物語(Lugu valgest varesest)”は、殺伐としたその当時を皮肉った、 新興企業の非精神的な社会を描いています。

1934年に、エストニアの著名な詩人が集まる、 ”アルブヤド(Arbujad)”という、小さなグループで、創作活動をしました。

そこで出会った詩人の、ヘイティ・タルヴィク(Heiti Talvik)と結婚し、二人でタルトゥに、住んでいました。

戦後、夫のヘイティ・タルヴィクは、ソ連軍に投獄され、シベリアで死亡。

ポエムや小説の他に、1940年代後半から1950年代にかけて、ドイツとロシアの文学も翻訳していました。

1989年6月19日、タルトゥにて、その生涯を閉じる。

ベティ・アルヴェル博物館(エストニア)感想レポ!

ベティ・アルヴェルの、100周年を記念し、2006年に、彼女の生家に、作られた博物館。

外観の水色がとてもキレイです。

元々個人宅だっただけに、博物館としては、こじんまりとしています。

部屋は5つで、展示室が3つ、グッズ販売部屋が1つ、事務所が1つとなっています。

入場料は大人4ユーロ、パンフレットやHPには、2ユーロとあり、値上げした様です(悲しい)

博物館に入り、左の部屋から展示は始まります。

展示室に入ると、博物館のスタッフの方々が、明かりをつけたり、部屋が繋がる扉を開けたりと

普段よほど人が来ないのであろう…という事が分かってしまいました(悲しい2回目)

ベティ・アルヴェルー光と影 光の部屋

ベティ・アルヴェルー光と影 と書かれている

展示は大きく二つの部屋に分かれ、ベティ・アルヴェルの、幼少期~青年期、暗いソビエト時代~往年と別れています。

ここは光の部屋(正式名称は不明)

年表が掲示され、生まれた1906年から、学生時代、詩人グループ、結婚や夫について、紹介されています。

オーディオがポツポツとあるので、彼女について解説を、聞くことができます。

ベティ・アルヴェルが手掛けた著書や翻訳本

本棚に飾られた本を、一つ手に取ってみたら、今にも崩れそうなほど古い物でした。

詳しくは分かりませんが、初本に近いか、初期に刷られた本なのかもしれません。

横にある赤い傘は、ベティ・アルヴェルの詩にでてくる傘を、イメージしています。

ベティ・アルヴェルのパネル。ちょっと映りが悪い気がします。
詩人のグループメンバーのポール・ヴィーディングへあてた手紙

ベティ・アルヴェルー光と影 影の部屋

ソビエトの暗い時代を、表現した部屋の年表は黒く、エストニアの人にとって、ソ連占領下はいつまでも、暗黒の象徴なのだと、改めて感じました。

部屋の中には、ベティが使っていた、ティーセットや、本人が書いた手紙が、飾られているのが、見どころのひとつです。

時系列ごとに、ふんだんに写真や説明が、あしらわれていますが、残念ながら展示は、エストニア語のみ…。

すべてを理解するのは無理!と判断し、楽しんでいる夫に、少し解説してもらいながら、写真を眺めていました。

写真や展示品を見るだけでも、楽しめると思います。

博物館のグッズ売り場

中々いい値段…

3つ目の部屋は、主にグッズが売られていました。

なんで途中に?!とビックリしましたが、彼女を知ってからの方が、購買意欲がそそるのかもしれない、と思い直しました。

現に欲しくなりました…。高いから買いませんけど

その他にも、チョコレートや紅茶などの食品もあり、壁にはユゲヴァ(ヨゲヴァ)の昔の写真も、飾られていました。

ユゲヴァ(ヨゲヴァ)の歴史が分かる本も買えます!

後日、グッズだけ買いたい時どうするの?と思いましたが、柔軟なエストニア人は普通に、中に入れてくれるだろうな、と思いました。

エストニアの国民的歌手アロ・マティーセンのコーナーも

最後の部屋は広く、ほとんどアート作品が飾られていました。

エストニアの博物館は、結構な割合で、アート作品が飾られている気がします。

その部屋の奥に、さりげなく展示されているのが、ユゲヴァ(ヨゲヴァ)出身の、エストニアの国民的歌手

アロ・マティーセン(Alo Mattiisen)です。

左がアロ・マティーセン、右はユリ・レースメントという詩人・ジャーナリストで彼もユゲヴァ(ヨゲヴァ)出身。

1961年4月22日に、ユゲヴァ(ヨゲヴァ)で生まれ、1996年5月30日にタリンで、心臓発作の為、35歳という若さで亡くなりました。

幼少期は、ユゲヴァ(ヨゲヴァ)の音楽スクールで、音楽を学びました。

彼の代表作に、“ノー・ランド・イズ・アローン(英:No Land Is Alone/愛:Ei ole üksi ükski maa)”

歌曲集「5つの愛国歌(Viis isamaalist laulu)」があります。

「5つの愛国歌(Viis isamaalist laulu)」シリーズは、ソビエト連邦の占領から、解放のきっかけにもなった歌う革命の、定番の曲の一つでもあります。

ベティ・アルヴェル博物館のHPはこちら

ゆかりの地、ユゲヴァ(ヨゲヴァ)の町にある彼女に関連するもの/過去のイベント紹介

彼女の作品は多岐にわたり、代表的な作品は?と聞かれても、一つに絞るのは難しいと思います。

しかし、彼女の所縁の地である、ユゲヴァ(ヨゲヴァ)には、彼女の記念碑があり、

彼女の作品である「燃える様な赤い傘(Tulipunane vihmavari)」を、モチーフにした、赤い傘が飾られています。

※1966年に出版された詩集、”星の時間(Tähetund)”に収録。

2021年12月には、100個以上の赤い傘が、記念碑の周りに飾られ、ベティ・アルヴェルの詩を朗読する、イベントが行われました。

その時のニュースサイトはこちらです

その他のベティ・アルヴェルに関するもの

赤い傘をさしてもらった町の中心にあるオブジェ(現在傘は撤去済み)

他にも、町の所々に、彼女に関連する物があったり、ポエムが書かれていたりします。

ベンチの背中の部分には彼女のポエムが書かれている
ベティ・アルヴェル博物館前にある街灯に飾られたポエム
町に飾られているベティ・アルヴェルのイラスト
町に飾られているアロ・マティーセンのイラスト

2020年に、タリンの旧市街にある劇場で、

ベティ・アルヴェルの「燃える様な赤い傘(Tulipunane vihmavari)」を元にした、

子供向けの舞台も、上演されました。

ポエム「燃える様な赤い傘(Tulipunane vihmavari)」(一部抜粋)をご紹介

Kui kõrgel olid lauad ja laed,
Kui lähedal oli päike!
Kui lähedal taevas, kui kaugel aed!
Ma olin väike.

Olin väike, kuid ihkasin juba.
rohkem kui nukku ja nukutuba,
rohkem kui pildivihku,
rohkem kui linnukest pihku,
täringuks tähte
ja palliks kuud,
rohkem kui tooreid tikrimarju,
rohkem, rohkem, kui midagi muud
ihkasin,
oh kuidas ma ihkasin
tulipunast vihmavarju!

~~日本語訳~~

テーブルや天井が高かったとき、
太陽が近くにあったとき!
空が近いとき、庭が遠いとき!
私は小さかった。

私は小さかった、しかしすでに切望していた。
人形や人形の部屋よりも、
絵本よりも、
手の中の鳥よりも、
さいころの星
そしてボールの様な月、
生のグーズベリーよりも
もっと、もっと、何よりも
切望した
ああ、私はどれほど切望したか
燃えるような赤い傘を!

元のポエムはもっと長いのですが、書ききれませんので、一部紹介とさせていただきます。

※Google翻訳と夫と私で、日本語訳にしてみましたが、細かい部分は、相違している可能性もあるので、雰囲気を楽しんで頂けると、幸いです。

(転写・借用はご容赦ください)

博物館へのアクセス

ベティ・アルヴェル博物館の、最寄り駅は、ユゲヴァ(ヨゲヴァ)駅です。

Elron(エルロン)という、オレンジの電車で、タリンのバルティヤーム駅から、約1時間半~2時間ほどで到着します。快速と各駅停車があるのでご注意を!

エストニア、第二都市のタルトゥ駅からは、Elron(エルロン)に乗って30分前後です。

タルトゥは、中心地からバスでも、行くことができます。(所要時間 約1時間)

ユゲヴァ(ヨゲヴァ)駅からは、徒歩一分もしない距離で、線路の側にある、小さな水色の家が目印です。

https://sophia-net.com/baltic/estonia_jogeva/

ベティ・アルヴェル博物館(エストニア)感想レポ!見どころやアクセス方法も まとめ

エストニアで有名な詩人、ベティ・アルヴェル博物館の、感想レポはいかがでしたか?

エストニアに住んでいても、中々訪れない場所ではありますが、こうやってエストニアの著名人を知る、いい機会になるかと思います。

ユゲヴァ(ヨゲヴァ)には、他にも著名な人物の出身地でもあるので、また別の機会にご紹介できたらと思います!

ここまでお読みいただきありがとうございました。

それはこの辺で
Head aega(ヘアド アエガ)!