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エストニアで見つけた伝統的飲料Kali(クワス)の楽しみ方を紹介

Kali(カリ)とは、エストニアで親しまれている、発酵飲料です。

夏の暑い日に、Kali(以下カリ)は、好んでよく飲まれています。

その歴史は古く、日本ではクワス(Kvass)の名で、知られているのではないでしょうか。

エストニアでは、19世紀半ば、ロシアの業者によって広まりました。

今では、北ヨーロッパ、東ヨーロッパに広がり、各国の呼び名で、世界的に親しまれています。

こちらのブログで、カリとはどういった飲み物なのか、楽しみ方、カリの歴史を、ご紹介していきます。

最後まで、お読みいただければ、幸いです。

カリ(クワス)とはどんな飲み物か?

カリは、ライ麦パンまたはライ麦粉、麦芽、水と酵母を、発酵させ作られた飲み物です。

わずかに酸味と、発泡性があり、見た目は綺麗な琥珀色、または金色をしています。

自然発酵させたカリは、アルコール含有量が、0.7〜2.0%以下と、比較的低いのが特徴です。

入手はどこでもでき、スーパーマーケットの、ソフトドリンクと、同じ棚に陳列されています。

現在では、自然発酵して作られたカリと、カリ風味飲料の、二種類が販売されています。

“Kääritatud kali(発酵カリ)”と、書かれてあれば、自然発酵で作られた物です。

逆に未発酵飲料は、”kääritamata jook(未発酵飲料)”などと、書かれている場合があります。

エストニアの老舗飲料メーカー、ア・レコックや、Sakuビールなどが、販売しています。

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カリの楽しみ方。どうやって飲めばいい?

少量の酸味がある、独特な味わいのカリ。

通常は、そのまま飲むか、グラスに注いで飲みます。

コーラと味わいは違いますが、似たような感覚で楽しめます。

その他の楽しみ方は、ウィスキー等のお酒と割る飲み方も、おススメです!

ちょっとしたアレンジで、オリジナルレシピを、作ってみるのも楽しそうですね。

ウォッカをカリで割り、冷凍したイチゴを添えてみました。

夏の風物詩?!カリの屋台

夏になると、町でカリの屋台を、みかけることがあります。

黄色いタンクに蛇口が付いて、コップに注ぎ入れます。

この売り方は、昔のソビエト時代を連想させ、懐かしさを感じる人も居るでしょう。

見かけると、思わず買ってみたくなります!

現在では、この様に町で売られているのは、珍しい気がしますが、イベント内で出店されるお店では、手作りカリ等が、ビールと一緒に売られているのを、よく見かけます。

ビールサーバーの横にカリのサーバーが。

カリ(クワス)はどこから来たのか

エストニアでは、19世紀半ばから広まりましたが、発祥はどこなのでしょうか?

実は正確に言及することができません。

スラブ人が住む地域では、伝統的飲料で、千年以上も前から、カリがクワスという名で、知られていました。

ポーランドでは、カリ(クワス)は、スラブ人の発明と言われています。

キエフ・ルーシの歴史について、記された年代記には

”996年、キエフ大公国のウラジミール一世の法令により、改宗したキリスト教徒が「食べ物、蜂蜜、クワス」の待遇を受けた”

と上記の様な、初めてカリに言及した、文章が残されています。

しかし、紀元前の古代エジプトでは、カリに似たものが、すでに作られていたそうです。

発祥はここ!と明確に言えないほど、古い歴史を持つカリですが、今では多くの国々で、飲まれています。

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エストニアにおけるカリの歴史

©S.Ahven

カリは、19世紀半ばに、ロシアから持ち込まれました。

ロシアのカリ生産者を通じて、”クヴァス (クワス)” という言葉が伝わり、バルト・ドイツ語で、カリやタール(Taar)になりました。

中世のエストニアでは、ビール造りが盛んでしたが、一般の人の間では、小麦粉やパンに水を入れ、発酵させたものを、タールと呼び、飲んでいました

タールは主に、エストニア南部、西部と島々で、飲まれていました。

ロシアのカリは、ライ麦パンと麦芽から、作られています。

ちなみに、エストニアの民族誌文献では、カリとタールは同義語として、また異なる飲み物として、表現されています。

ライ麦+麦芽か、小麦粉を使う、製法の違いかと、推測されます。

昔のエストニアでカリは、ビールと異なり、市政府の制限なしに、製造・販売できる、安価な飲み物として、ビールより人気でした。

カリが昔から飲まれていた訳

千年前、もしくは紀元前から、パンを発酵させて作られたものが、飲まれていた理由に、清潔な飲み水が、十分に手に入らなかった、背景があります。

人口の多い国ほど、この問題は深刻で、病気が流行る要因になっていました。

その点、発酵飲料(クワスやサイダーなど)は、衛生的な観点から、安全と考えられていました。

発酵から生じる酸が、体のpHを下げ、悪玉菌を殺す=カリを飲むことは、疑わしい水を飲むより安全、と人々は考えていました。

ソビエトの時代の人は、きれいな水の代わりに、路上で樽から提供される、カリでのどを潤していました。

現代の様に、簡単に水を買う事も、難しい時代でもありました。

発酵により、有害な細菌が殺菌されると考え、同じグラスを使って、カリを飲んでいたそうです。

もちろん賢いエストニア人は、マイグラスを、持参していたかもしれませんね!

エストニアで見つけた伝統的飲料Kali(クワス)の楽しみ方を紹介 まとめ

エストニアで、今もなお飲まれている、カリ(クワス)をご紹介しました。

何でも手に入る昨今では、若い世代に、カリは馴染みが薄いと思いますが、ソビエトの時代を生きた世代は、好んで飲む人が居るのも実情です。

スラブ諸国や、バルト三国含む北ヨーロッパで、飲まれている伝統的飲料なので、このブログを読んで、すでにご存じの方も居るかもしれません。

もし知らなった方は、この機会に、エストニアにご旅行の際に、試しに飲んでみてはいかがでしょうか。

人生が変わる体験!が、できるかは分かりませんが、新たな文化を知るきっかけになると思います。

何処でも手に入りますので、ぜひ飲んでみて下さいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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References;alecoq.ee,flavoursoflivonia,rskrf.ru,naistekas.delfi.ee,npr.org