毎年1,2月頃になると、この季節がやってきます。
それは…
ヴァストラクッケル(Vastlakukkel)です。
エストニアや他の北欧、一部のヨーロッパで、食べられている、ヴァストラクッケル
過去にブログで、ヴァストラパエヴを、紹介しましたが
今回は、ヴァストラクッケルに、フォーカスして、改めてご紹介したいと思います。
少し前に、日本ではマリトッツォが、流行っていたと思いますが
ヴァストラクッケルとマリトッツォって、似てるけど、どこが違うの?
と思っている人も、少なくない様なので、この機会に違いを、書いてみたいと思います!
最後までお付き合いください。
「ヴァストラクッケル」とは?
ヴァストラクッケルとは、カルダモンの入ったパン生地に、バンズの上部を切り取り、間にクリームをトッピングした、ペイストリーです。
日本では、スウェーデンのセムラ(Semla)が、よく知られていると思います。
実際は同じもので、北欧諸国で広く食べられ
エストニアでは、1月の中旬頃から売られています。
中はプレーン生地または、ジャムが入っています。
最近では、バンズ生地を黒やピンクにした、ヴァストラクッケルも見かけます。
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各国の呼び名を知ろう!
エストニア語で「ヴァストラクッケル(Vastlakukkel)」ですが、他国では何と呼ばれているのでしょうか?
スウェーデンは先述の
「セムラ(Semla)」
お隣フィンランドは
「ラスキアイスプッラ(Laskiaispulla)」
デンマークとノルウェーは
「ファステラウンボーラ(Fastelavnsbolle)」
ラトビアは
「ヴェーヤ クーカス(Vēa kūkas)」と言います!
おまけ:スウェーデン南部とフィンランド系スウェーデン人の間では「Fastlagsbulle」と呼ばれているそうです。
Semla / laskiaispulla / vastlakukkel in Northern Europe. pic.twitter.com/VaWdbs0AVk
— Peedu Tuisk (@peedutuisk) February 13, 2021
エストニアのヴァストラパエヴとヴァストラクッケル
そもそもヴァストラクッケルは、エストニアでは、キリスト教由来の、春の断食前の
最後のお祝いの食事の一部として、告解の火曜日(ヴァストラパエヴ)にのみ、食べられていました。
現在は宗教改革で、厳格な断食はなくなり、1月からイースターまで、食料品店やベーカリーで、販売されています。
またヴァストラクッケルは、キリスト教の影響を受ける前から、エストニアとフィンランドでは、存在していたそうです。
古いレシピは、18世紀後半頃からあり、現在のパンの形ではなく、穴のないドーナツの形で
ジャムやオレンジのスライスを詰め、上から砂糖をまぶした物でした。
またスウェーデンから、温かいミルクに入れて、食べる方法が伝わりました。
今日の、上部を切り取って、クリームを挟む形になったのは、19世紀末~20世紀頃のレシピから、生まれたそうです。
ヴァストラパエヴはどんな日なのか?
ヴァストラパエヴは、イースター(復活祭)まで、40日間断食に入る前のお祝いの日になります。
キリスト教由来の日で、告解の火曜日(懺悔の火曜日)と言いますが、エストニア語では、ヴァストラパエブと呼びます。
ヴァストラパエヴについて、こちらで詳しく紹介しています!
是非ご覧ください↓
「ヴァストラクッケル」の作り方(レシピ)
用意するもの
~バンズ 7個分~
牛乳 250ml
ドライイースト 25g
砂糖 小さじ3
塩 小さじ0.5
小麦粉 450g
カルダモン(粉末) 大さじ1
バター(室温) 100g
卵 1個
~中のクリーム~
生クリーム(35%) 300ml
砂糖 小さじ3
お好きなジャム 適量(省略可)
粉砂糖 適量(省略可)
作り方
~バンズ~
- 牛乳を40度くらいに温める。この時オーブンを、180度に予熱する。
- ドライイースト、砂糖、塩を合わせ、混ぜながら牛乳を加える。
- 次に小麦粉、カルダモン、室温に置いた柔らかいバター、を加える。
- 生地が手につかなくなるまでこねる。
- 生地を温かいタオルの下で、約30分間発酵させる。
- 膨らんだら7等分にし、手の中で転がして、ボールの様に丸くする。
- クッキングペーパーを天板に敷き、ボール状の生地を乗せ、約10分間発酵させる。
- バンズに溶き卵を塗り、180度のオーブンで、20~25分焼く。
~中のクリーム作りから完成まで~
- 生クリームに、砂糖を少しずつ加え、角がピンと立つ様に泡立てる。(泡立てすぎないように注意!)
- 冷めたバンズの「上部」を切り取る。
- ホイップクリームをのせる。
- (ジャムを入れる場合)クリームをのせる前に、パンの中身を少しすくい、大さじ1杯のジャムを入れてから、クリームをのせる。
- カットした、バンズの帽子を上に乗せ、粉砂糖をまぶして完成!
ポイント!
生クリームは高脂肪の方が、よりおいしくできます。
マリトッツオとの違いも調べてみた
セムラ(ヴァストラクッケル)を、知っている人なら、見た目がそっくりなので
同じもの?どう違うの?と、気になる所だと思います。
由来やレシピから、違いを個人的に調べてみました。※ここではヴァストラクッケルと言う名前で記述していきます。
マリトッツォの由来
マリトッツォは、イタリア発祥の食べ物で、起源は古代ローマまで遡る、と言われています。
イタリアでは、男性から最愛の人(婚約者やガールフレンド)へ、
時にはパンの中に、指輪や宝石等を入れ贈り、受け取った女性が、その男性の事を
Marito(夫)と呼び、ちゃかした言い方で
Maritozzo(マリトッツォ)
と呼んだことから、その名が付いたそうです。
ヴァストラクッケルとマリトッツオの決定的な違い
よく見たら、ヴァストラクッケルとマリトッツォの、クリームの挟み方が、違う事に気が付きました。
ヴァストラクッケルは、丸いバンズの頭部を完全に切り取り、クリームを挟んでいます。
しかし、マリトッツオは、丸いバンズに切り込みを入れ、クリームを挟んでいます。
バンズの丸さにも、こだわりは無い様で、楕円形のバンズに、クリームを入れた物も見かけました。
本場イタリアでは、豪快にクリームをパンの間に、のせただけのもあるみたいですね。
レシピや材料に関しては、大きく違いは無いようですが
しいて言えば、エストニアのヴァストラクッケルには、カルダモンが入っています。
マリトッツオは、オレンジの皮を入れる場合もある様です。
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マリトッツオとの違いも調べてみた結果
ヴァストラクッケルと、マリトッツォの由来は、全く違うものでした。
また、クリームを挟む工程が、違っていることから
似ているけど別物、と言えるのではないでしょうか。
とはいえ、同じヨーロッパの食べ物ですので、徐々に広がり、形が変わったという可能性も、考えられると思います。
エストニアは中世から、スウェーデン、デンマーク、ドイツの支配下だったので、影響を受けていないとは、言い切れないと思います。
ヴァストラクッケル(セムラ)のレシピを紹介!マリトッツォとの違いも まとめ
エストニアの、ヴァストラクッケルを、紹介しましたが、食べてみたくなりましたか?
調べてみると、結構奥が深く、ヴァストラクッケルから、他国の文化、キリスト教の習慣など、彫り下がり、沼にハマってしまいました。
ヴァストラクッケルが、食べられるのは1月~2月だけなので、もしその時期にエストニアに滞在される方は、ぜひ食べてみてください。
1つ2つと食べてるうちに、気が付いたら病みつきに、なっていること間違いなし!
おうちでも試しに作ってみてくださいね。