2月のエストニアは、Vastlapäev(以下、ヴァストラパエヴ)、があります。
Vastlakukkel(以下、ヴァストラクッケル)という、クリームたっぷりのパンが、店頭に並び始めると、その時期が来たことを、感じられます。
今回はヴァストラパエヴが、エストニアにとって、どのような日なのか、このブログで詳しく紹介したいと思います。
最後までお付き合いお願いします。
ざっくり言ってヴァストラパエブって何の日なの?
ざっくり言うと、ヴァストラパエヴは、イースター(復活祭)まで、40日間断食に入る前のお祝いの日になります。
キリスト教由来の日で、告解の火曜日(懺悔の火曜日)と言いますが、エストニア語では、ヴァストラパエブと呼びます。
スウェーデン語の、Fastlag(ファストラグ=断食開始前の3日間のパーティ)に、由来するという説もあります。
英語では「Shrove Tuesday(シュローブ・チューズデイ)」、またはパンケーキデイ、と呼ばれることもあります。
移動記念日になる為、毎年日付が異なり、イースターを起点とした、7週間前の火曜日(※日曜日は含めません)が、ヴァストラパエブになります。
ヴァストラパエブの翌日は、断食の始まりの日、Tuhkapäev(灰の水曜日)と言います。
2024年以降は以下の日付。
- 2024年: 2月13日
- 2025年: 3月4日
- 2026年: 2月17日
- 2027年: 2月9日
- 2028年: 2月29日
- 2029年: 2月13日
どうして毎年違う日なの?
ヴァストラパエブは、イースターから、日曜日を除く40日前と、決まっている為、毎年日付が変わります。イースターは、春分の日を過ぎた、最初の満月の後の日曜日、とされているからですね!
何をして過ごす?エストニアの伝統を紹介!
エストニアの古くからの伝統では、ヴァストラパエヴの日に、そり遊びや豚の骨でスピナーを作ったり、伝統料理を、楽しんでいました。
伝統的な遊び
特にそり遊びは、ヴァストラパエブならではの、遊びです!
麻が豊かに成長するを事を祈願し、どれだけ長く滑れるかを競っていました。
19世紀から20世紀には、麻の袋を使って、そり滑りをしていました。
麻は”幸運を掴む”縁起物と、考えられていた様です。
現在では、ただの言い伝えとされ、そりもプラスチックが主流ですね。
過去には、氷でメリーゴーランドを作る、こともしていたそうです。
そり遊び以外に、今も受け継がれている、豚の骨で作るスピナー(Vastlavurr)です。
伝統では豚の骨ですが、今はボタンと糸で、作る事もあります。
Vastlavurr(ヴァストラブッル)とはこんな感じです↓
ヴァストラパエヴの代表料理といえば
また、ヴァストラパエブの代表料理といえば、豚肉(特に豚足)・えんどう豆のスープ(ヘルネスップ)・ヴァストラクッケルです。
ヴァストラクッケルは、こちらで詳しく紹介しています!
エストニア南部で「肉投げの日」と呼ばれている?!
エストニア南部を含む、一部の地域では、ヴァストラパエブの日を、「肉投げの日(lihaheitepäev)」と言われています。
翌日から断食が始まり、肉が食べられなくなる事から、由来しています。
実は、地域によって呼び名があり、「お粥の日」や、エストニア北東部では「そりの日」とも呼ばれています。
昔のエストニアでは、豚肉は冬しか食べられず、マルディパエヴ(聖マーティンの日)や、クリスマスに、特別に豚を調理(屠殺)し
ヴァストラパエブの頃には、豚の足が残り、それを食べていたそうです。
他にも南部の伝統では、丘の中腹で麻クズを燃やし、そりでその間を滑り降りたり、馬にそりをひかせ、パブや友達の家を、訪れたりしていました。
若者たちは、夕方になると、踊り始め、女の子は、幸運を呼ぶということで、踊りに行く前に、豚の足の骨を、ポケットに入れたそうです。
マルディパエブについて少し触れています↓
ヴァストラパエヴは女性の為の休日だった?!
伝統では、ヴァストラパエヴに、禁止事項がありました。
編み物・裁縫・部屋の掃除が、主に禁止され、羊を傷つけるという理由から、糸紡ぎや、円形を回すような労働も、禁止されていました。
リボンを結ったり、ロープを作ることはOK。
そういった点から、女性は仕事を休み、パブへ行って、ワインやジュースを、楽しんでいました。
堂々と家事を休めるのは、羨ましいですね!
ヴァストラパエヴの迷信
上記の禁止事項以外にも、ヴァストラパエヴに、信じられてきた、様々な迷信があります。
- ヴァストラパエヴの夜は火をつけない。
- 畑や庭に肥料を撒く。
- 顔や衣類を洗う時は、細心の注意を払う。
- ヴァストラパエヴの天気によって、その年の気候が分かる。
例えば、理由は以下のような内容です。
①ヴァストラパエヴの夜は、馬を疲れさせてしまう為、火をつけることが、禁止されていました。
しかし、馬を丹念にブラッシングすると、一年中、馬のたてがみが、美しくつやが出ると、信じられていました。
②この日に肥料を撒けば、ジャガイモがよく育ち、大きなキャベツが実る、と言われているからだそうです。
③顔や洗濯物を洗う時は、丁寧にしっかり洗う事で、洗濯物が一年中、白くきれいなままになると言われ
食器も同様に、きれいに洗う事で、その年はきれいな状態が続くようにと、祈願されていました。
④ヴァストラパエブの日が、暖かくて心地よい日であれば、春は暖かいが短く、夏は寒くなると言われていました。
逆に、曇りであれば、夏に雨が多く降り、作物は枯れる。風の強い日だったなら、いい夏が来ると、信じられていました。
エストニア人は、迷信を信じる傾向にあり、日本人と似た所に、親しみを覚えますね!
現代のヴァストラパエヴはどう過ごすか?
現代のヴァストラパエヴを、楽しく過ごすには、何をしたらよいか?
エストニア各地では、ヴァストラパエヴの前の休日に、そり滑りや、雪で遊ぶイベントが、開催されています。
そりの競技イベント場合は、参加者に、温かいスープや、ヴァストラクッケルが、振舞われることがあります。
個人で楽しみたい場合は、冬の森をハイキングしたり、友達とゆっくりサウナに入る等、楽しみ方は様々です!
ヴァストラパエヴの由来や意味は?何をして過ごす日?代表料理も紹介 まとめ
エストニアの伝統行事、ヴァストラパエヴについて、紹介しました。
元々は、キリスト教由来の日ではありますが、現代のエストニアでは、ヴァストラクッケルを食べたり、そりで遊んだりして、過ごしている人が多いと思います。
ヴァストラパエヴの前の休日には、関連したイベントが各地で開催され、真っ盛りの冬を、楽しんでいる様にも感じられます。
この時期に、エストニアを訪れることは、難しいと思いますが、機会があれば、真冬のエストニアのイベントも、堪能いただければと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
Source;BERTA,Eesti rahvakalender,Õhtuleht,Vikipeedia